南イタリア・バーリの早朝

今日は半日かけて、南イタリアはレッチェのバンド、ジーナの最新作『Afreeque』のライナーノーツ書き(ここ最近、各地の素晴らしい作品の解説を書かせていただくことが多くて、感謝するばかり)。

以前このブログでも書いたけれど、南イタリアは本当に大好きな場所。
いつか3か月ぐらいかけてゆっくりと回ってみたいなぁ、と思っているほど、とても思い入れが強い。

イタリアにはじめて上陸したのは、ギリシャのパトラからフェリーに乗り、10時間近くかけて辿り着いたバーリという町だった。まだ店も開いていない早朝。しかも天気は雨。そのなか、港から10分ほど歩けば着くはずの駅に僕らは向かっていた。

はじめてのイタリア。もちろん言葉も分からないし、右も左も分からない状態。そのなかで重い荷物を抱えて歩くのは結構大変だった。しかも寝起きだったせいか、まんまと道に迷ってしまう始末。腹は減ってるし、眠気は最高潮だし……その時僕らに声をかけてきたのは、まるでナンニ・モレッティの映画に出てきそうな、典型的イタリアのオバちゃんだった。青い顔をしてズブ濡れの僕らがあまりにも悲惨に思えたらしく、救いの手を差し伸べてくれたのだった。

とりあえず僕らは「エスタシオン!(駅)」と連呼するしかできないわけだけど、それを察知したオバちゃんは一気に道順をイタリア語でまくし立てる。スペイン語ならともかく、イタリア語なんて「ボンジョルノ」と「ボーノ」ぐらいしか分からない僕らは棒立ち状態。
そこでオバちゃんが取った作戦は、まさかのボディ・ランゲージ作戦(笑)。
「(手で円を描いて)アルコ! アルコ! (その円に手を真っすぐ伸ばして)エスタシオン! エスタシオン!」
その間、わずか5分間。オバちゃんはオーヴァーアクションのために軽く息切れしていた気もするけれど、僕らはそのオバちゃんのおかげで何とか駅に辿り着くことができたのだった。

僕は南イタリアというと、真っ先にそのオバちゃんを思い出すし、その横を通り過ぎていく魚屋やヨレたジイさんを、そして早朝のバーリの街並を思い出す。
その3週間ほどのイタリア滞在では楽しいこともムカつくことも軽いトラブルもあったけれど、全部ひっくるめて忘れられない旅になったことは確か。
今度イタリアに行くときは、せめて「お嬢さん、駅への道順を教えてもらえませんか?」ぐらいのイタリア語は覚えていこうと思う。また、どこかのオバちゃんにボディ・ランゲージで教えてもらうのも悪いしね。

ジーナの前作にあたる『ZIna』より、スド・サウンドシステム周りのレゲエDJ、ドン・リコをフィーチャーした“Taiala”を。


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by hazimahalo | 2009-05-15 00:56 | 中南米