2009年 03月 16日 ( 1 )

d0010118_3405046.jpg先月2月にリリースされたケイナーン(K'NAAN)の新作『Troubadour』を買う。2009年が始まってからまだ3か月ほどしか経っていないけれど、今年のベスト・アルバム候補なんじゃないかっていうぐらいの出来。正直、ここまでいいとは思わなかった。

この人はもともとソマリア出身で、同国の内戦激化の影響を受けて91年にカナダのトロントへ移住。それまではまったく英語が喋れなかったにも関わらず(ソマリアの公用語はソマリ語)、移住後に自力で英語を習得、それからラッパーとして活動を始めたというから、かなりの苦労人とは言えそう。

僕がケイナーンの名前を知ったのは、2007年にリリースされた『Urban Africa Club 』というコンピだった。d0010118_3412545.jpg映画「ツォツィ」(アフリカ版「シティ・オブ・ゴッド」といった感じの傑作)にも楽曲提供をしていたゾラなどが参加していて、コンピとしては非常に面白かったのだが、ケイナーンはそのなかで取り立てて目立った存在ではなかった。

だが、ヨーロッパのメディアで大きく取り上げられているところも徐々に目にするようになり、気が付けばアメリカの老舗レーベル、A&Mと契約。新作『Troubadour』を世界的にリリースしたというわけだ。

おそらく、A&Mはエイコンやワイクリフ・ジョン、またはダミアン“ジュニア・ゴング”マーリーのラインでケイナーンを売り出そうとしているのだろう。
1曲目“T.I.A”ではボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの“Simmer Down”がサンプリングされているし、ジャマイカのタフ・ゴング・スタジオで一部レコーディングされていたりと(ジュニア・ゴングも参加)、ところどころでレゲエの匂いを漂わせている。
また、エイコン(セネガル出身)やワイクリフ(ハイチ出身)と同様に、北米のリスナーが受け入れられる範囲で自国のニュアンスを採り入れてるのも特徴か。ソマリア語のラップが聴こえてきたり、(元ネタは分からないけれど)エチオピアっぽいサンプリング・ネタも入っていたりして、そのあたりのバランスもいい。

主役のラップもキャッチーで、少しウィル・アイ・アムっぽいのかな。
カナダのトラック&フィールド・プロダクションズ(ネリー・ファータドなどを手掛けてきたプロデューサー・チーム)ら製作陣が寄ってたかって豪華に仕立てあげた感じだけど、ワールド・ミュージック系レーベルのいなたいサウンド・プロダクションでまとめられるぐらいなら、こっちのほうが全然いい。

とりあえず、2009年3月の段階では、今作がベスト・アルバム。
大型レコードショップではヒップホップ/R&Bコーナーに置いていると思うけれど、レゲエ/ワールド・ミュージックのリスナーでも楽しめるアルバムなんじゃないかな。

というわけで、今日はケイナーンの『Troubadour』から、チャブ・ロックをフィーチャーした“ABCs”を。


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by hazimahalo | 2009-03-16 03:46 | アフリカ