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以前、ソマリア出身のラッパー、ケイナーンの新作『Troubadour』収録曲“ABCs”について「元ネタは分からないけど、エチオピアっぽいサンプリング・ネタが使われてる」みたいなことを書いた(ケイナーン(K'NAAN)の新作『Troubadour』)。

その後、下北沢の良心的レコードショップ、DISCSHOP ZEROの飯島さんがご自身のブログでその謎を解いていた(E-JIMA's blog)。d0010118_1620979.jpg
なるほど、MULATU ASTATKEだったんですね。MULATUはエチオピアン・ジャズの大御所で、CDラックを捜索したら、僕も彼の『Ethiopiques Vol. 4:Ethio Jazz & Musique Instrumentale 1969-1974』を持ってた。“ABCs”の元ネタはこのアルバムじゃなくて、72年作『Mulatu Of Ethiopia』(DISC SHOP ZERO商品ページ)に収録されている模様。このアルバムのほうは未聴だったんで、近いうちにZEROで買ってこようと思っている。

さて、そのMULATU。ジム・ジャームッシュの映画「ブロークン・フラワーズ」に使用されたことで広く知られるようになった彼だけど、次回作はナウ・アゲイン/ストーンズ・スロウ周辺の屋台骨を支えるヘリオセントリックスとのコラボレーション作。
リリースは最近「アンプ・フィドラーVsスライ&ロビー」や「アシュレイ・ビードルVsホレス・アンディ」といった興味深いコラボレーション・シリーズを出しているストラットから。このレーベルは一時期活動休止していて、数年前の再開から吹っ切れたように面白い作品を出している。

そのMULATUとヘリオセントリックスとの競演作、サンプルが送られてきたので早速聴いたところ、完全に近作のナウ・アゲインの作風に乗っ取ったもので、実にしっくりくる。Mrチョップ『Lightworlds』とかカール・ヘクター&ザ・マルカウンズ『Sahara Swing』など、ナウ・アゲイン発のサイケデリック・ファンク路線を踏襲したものというか。
ありえないような化学反応は起きていないものの、ひとつのバンドのような統一感が感じられて好印象。このメンツでツアーもやっているようなので、今後さらに発展していく予感もある。

というわけで、今日は酩酊ファンクを数発。

Mulatu Astatke“Mulatu”


Karl Hector & the Malcouns "Sahara Swing"


Mulatu Astatke&The Heliocentrics “Yekermo Sew”


オマケ。バグパイプ×スピリチュアル・ジャズ、ルーファス・ハーリーの“Malika”。これが収録された『Re-creation Of The Gods』も素晴らしい酩酊ファンク・アルバム。

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by hazimahalo | 2009-03-26 16:24 | アフリカ
アンゴラ〜リスボンのゲットー・ミュージック、クドゥロのブラカ・ソン・システマが来日するそう。フレデリック・ガリアーノは来日時にクドゥロ・セットでライヴをやっていたけれど(昨年のラバダブ・マーケットとのセッションは凄まじいものがあった)、いちおう本場モノとしては日本初上陸。僕自身、以前から気になる存在だったので、どんなライヴを見せてくれるかとても楽しみだ。
それと、せっかくなのでどこかの媒体で取材できないものかと画策中。まだまだクドゥロは謎に包まれているところも多いので、ぜひ取材したいと思ってるんだけど、どうなることやら。

ただ、その注目度のわりに来日が話題になっていないような気もする。DJのラインナップはdj KENTAROとVERBAL。KENTAROはともかく、VERBALはちょっとズレてる気がしなくもないけれど…。

というわけで、来日は東京公演が4月10日WAREHOUSE702にて、そのあと京都でもパフォーマンスを行うそう。
呼び屋がスマッシュということは、今回の反響を見てフジロックへのエントリーを検討する、ということ? ブラカ・ソン・システマもいいんだけど、そろそろいい加減にマヌ・チャオとムチャチート・ボンボ・インフィエルノを呼んでほしいんですけどね、スマッシュさん。

ご存知の方には再度紹介するまでもないだろうけど、彼らの出世曲となった“Sound Of Kuduro”(フィーチャリング M.I.A)のビデオクリップがこちら↓。世界観としてはダンスホール〜グライム/ダブステップ〜レゲトン〜バイリ・ファンキに通じるゲットー・ベース・ミュージックの典型なんだけど、それをソカ並みの高速BPMで描き切っているのが凄い。というかエグイ。彼らのファースト・アルバム『Black Diamond』は大好きな作品ではあるものの、一枚通して聴くとかなりの疲労感に襲われるのが難点と言えば難点か(笑)。


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by hazimahalo | 2009-03-24 05:34 | アフリカ
ここ数日風邪を引いてしまって、ブログの更新が滞ってしまった。
出来れば2日に1回は更新したいのだが……もう少し頑張ります。

今日も1日頭痛に悩まされていたのだが、そうサボってもいられないので、4月に出るコンピ『Real Authentic Reggae Volume Two』(BBE/ウルトラ・ヴァイブ)のライナーノーツを書く。
d0010118_22325955.jpgマーカス・ガーヴェイが描かれたジャケットもナイスな本作、選曲を手掛けているのはベテラン・サウンドマン/ラジオDJのデヴィッド・ロディガン。僕自身、大好きなサウンドマンだけに、CDラックから彼のサウンド・クラッシュ実況録音盤やミックスなどを引っ張り出し、気合いを入れて執筆に挑む。

この『Real Authentic Reggae Volume Two』、軸となっているのは70〜80年代前半のルーツ。だが、そこにジュニア・ケリーやチャカ・デマス&プライヤーズなども紛れ込んでいて、結構面白いセレクトになっている。〈Real Authentic Reggae〉というテーマをロディガンなりに解釈するとこうなります、といったところか。

ちなみに、ロディガンと言えば、やはり少々ユーモラスなステージ・パフォーマンス。
ルックスはロンドンのパブにでもいそうな典型的英国人のそれなのに、ひとたびスイッチが入るとこの有様↓





なお、ロディガンがはじめてレゲエと出会ったのは、TV番組「レディ・ステディ・ゴー!」から流れてきたミリー・スモール“My Boy Lollipop”(64年)だったとか。
いわばジャマイカ音楽の歴史を丸ごとリアルタイムで見てきたわけで、その知識・理解がプレイから滲むあたりに僕はグッときてしまう。

ちなみに、面白かったのはイタリア・ミラノでのプレイ↓



3分12秒あたりから流れるのは、南イタリア・レッチェ出身のスド・サウンド・システム(SUD SOUND SYSTEM)。彼らはヨーロッパで絶大な人気を誇っていて、僕もイタリアを旅している時にたびたびフライヤーを見かけた。この映像での爆発の仕方はその人気を示しているようで、ロディガンがあえてこの曲をかけていることも含め、実に興味深い。
彼らのアルバムは一枚しか持っていないけれど、ちょっと古臭い80sダンスホール・アルバムという感じで、どうも嫌いになれない。
このあたりのユーロ・ダンスホール事情はあまり日本に紹介されていないので、このブログでも少しずつ触れていきたいと思います。

まずはその第一弾として、南イタリアの伝統舞踊・音楽=タランテッラからダンスホールへと強引になだれ込むスド・サウンド・システムの“Le Radici Ca Tieni”を。PVの風景も典型的な南イタリアのそれ。こういうの、好きです。


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by hazimahalo | 2009-03-22 22:34 | カリブ
d0010118_3405046.jpg先月2月にリリースされたケイナーン(K'NAAN)の新作『Troubadour』を買う。2009年が始まってからまだ3か月ほどしか経っていないけれど、今年のベスト・アルバム候補なんじゃないかっていうぐらいの出来。正直、ここまでいいとは思わなかった。

この人はもともとソマリア出身で、同国の内戦激化の影響を受けて91年にカナダのトロントへ移住。それまではまったく英語が喋れなかったにも関わらず(ソマリアの公用語はソマリ語)、移住後に自力で英語を習得、それからラッパーとして活動を始めたというから、かなりの苦労人とは言えそう。

僕がケイナーンの名前を知ったのは、2007年にリリースされた『Urban Africa Club 』というコンピだった。d0010118_3412545.jpg映画「ツォツィ」(アフリカ版「シティ・オブ・ゴッド」といった感じの傑作)にも楽曲提供をしていたゾラなどが参加していて、コンピとしては非常に面白かったのだが、ケイナーンはそのなかで取り立てて目立った存在ではなかった。

だが、ヨーロッパのメディアで大きく取り上げられているところも徐々に目にするようになり、気が付けばアメリカの老舗レーベル、A&Mと契約。新作『Troubadour』を世界的にリリースしたというわけだ。

おそらく、A&Mはエイコンやワイクリフ・ジョン、またはダミアン“ジュニア・ゴング”マーリーのラインでケイナーンを売り出そうとしているのだろう。
1曲目“T.I.A”ではボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの“Simmer Down”がサンプリングされているし、ジャマイカのタフ・ゴング・スタジオで一部レコーディングされていたりと(ジュニア・ゴングも参加)、ところどころでレゲエの匂いを漂わせている。
また、エイコン(セネガル出身)やワイクリフ(ハイチ出身)と同様に、北米のリスナーが受け入れられる範囲で自国のニュアンスを採り入れてるのも特徴か。ソマリア語のラップが聴こえてきたり、(元ネタは分からないけれど)エチオピアっぽいサンプリング・ネタも入っていたりして、そのあたりのバランスもいい。

主役のラップもキャッチーで、少しウィル・アイ・アムっぽいのかな。
カナダのトラック&フィールド・プロダクションズ(ネリー・ファータドなどを手掛けてきたプロデューサー・チーム)ら製作陣が寄ってたかって豪華に仕立てあげた感じだけど、ワールド・ミュージック系レーベルのいなたいサウンド・プロダクションでまとめられるぐらいなら、こっちのほうが全然いい。

とりあえず、2009年3月の段階では、今作がベスト・アルバム。
大型レコードショップではヒップホップ/R&Bコーナーに置いていると思うけれど、レゲエ/ワールド・ミュージックのリスナーでも楽しめるアルバムなんじゃないかな。

というわけで、今日はケイナーンの『Troubadour』から、チャブ・ロックをフィーチャーした“ABCs”を。


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by hazimahalo | 2009-03-16 03:46 | アフリカ
ここ数ヶ月、冗談抜きで毎日観ている映像。僕は、これが世界で一番格好いい音楽だと思っている。
ヨーロッパや中南米では絶大な人気を誇るマヌ・チャオが、ここ日本では日本盤すら出ていないという状況がまったく理解できない。レコード会社や各メディアはその無知を恥じるべき。

Amazigh Kateb - Manu Chao- Tiken Jah Fakoly- Politic kills

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by hazimahalo | 2009-03-14 01:18 | 地中海
先日、ビティ・マクリーンとスライ&ロビーのライヴに行ってきた。
ビティは2006年に来日した際のライヴも観たけれど、今回はスライ&ロビーとのライヴ。同じ編成でヨーロッパでやっていたライヴはタッチの差で観れなかったので、今回は念願叶って、といったところ。

ビティについては忘れられない思い出がある。
場所はジャマイカのキングストン。レイタウンという町で毎週日曜にやっているダンスでのことだ。
このダンスは、今や少なくなったロックステディやルーツなどオールディーズ専門のダンス。古き良きジャマイカが体験できるとあって、近くに住む親父どもが大挙して押し寄せる。d0010118_14473232.jpg場所はゲットーのストリート。目一杯オシャレした年配の方々が気持ち良さそうに揺れる図は、ダンスがまだ平和だったかつての光景を連想させる。
ビティ・マクリーンの“Walk Away From Love”がかかったのは、ダンスも佳境に入った深夜3時ぐらいだったと思う。
もともとこの曲が大好きだった僕は、自然と手を挙げる。流れ出す、聴き馴染みのあるメロディー——。

この時、突然、レイタウンは停電になったのだ。周囲は真っ暗、そして無音。
僕はその時、自分の頭上に満点の星空が広がっていたことに気づかされた。まるで星が降ってきそうな夜空。それをいなたい親父どもと眺める、不思議な感覚。
数十秒後、何事もなかったように電気が復活し、“Walk Away From Love”がイントロから流れ始める。僕はもうたまらなくなってしまって、ボロボロと大泣きしてしまったのだった。夢にまで見たジャマイカに僕はいる。長いレゲエの歴史の一部に、まさに今触れている。そんなことが突然実感されたのだろう。

ジャマイカに滞在したのは2007年末から翌年にかけて2か月ほど。その滞在のなかで一番印象深かったのはこのシーンだった。多少ロマンチックすぎるかもしれないけれど、レゲエを愛する人間にとって、この状況で冷静にいるほうが無理だと思う。ジャマイカは、東京という町で生まれ育った人間の理性をいとも簡単に解きほぐしてくれたのである。

ビティとスライ&ロビーのライヴは予想を遥かに上回る素晴らしさだった。
その日、ライヴの前にビティにインタヴューさせてもらったのだが、その時感じた人柄の良さがステージ上に溢れていた。
レゲエはテクニックやセンスで成り立っている音楽ではない。どんな気持ちで一音・一音を鳴らしているか、どんな思いで歌を投げかけているのか。そこが残酷なまでに滲んでしまう音楽だ。
彼らのライヴは、音楽に対する情熱と愛情を強く感じさせるものだった。
それは感動的なほどで、僕はサングラスをかけてこなかったことを後悔するほど大泣きしてしまったのだった。

なお、この日取ったビティのインタヴューは、次号の「ROVE」にて掲載予定。
こちらのブログでは原稿に反映できなかった部分も含め、「ROVE」発行後に全文掲載するつもりです。

というわけで、今回は先述した“Walk Away From Love”を。


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by hazimahalo | 2009-03-08 15:04 | カリブ
ダニー・ボイル監督作品「スラムドッグ$ミリオネア」がアカデミー賞8部門を受賞して話題となっている。欧米の映画/音楽市場ではボリウッドが次のトレンドとされつつあるようで、世界に数億といるであろう(非インド人を含む)ボリウッド愛好家は微妙な心境では。

ともかく、エンターテイメントの世界でも、世界的な経済市場のなかでも存在感を増してきているインドだけど、僕としてはこの勢いでチャットニーにも注目が集まったりしないかしら、などと思っている。

チャットニーはトリニダード・トバゴに住むインド系住民のなかで愛されてきた音楽で、同地原産のソカ/カリプソとヒンドゥー・ポップスが混ざったもの。

トリニダードはかつて季節労働者として渡ってきたインド人が多く住んでいて、人口の40%を占めている。他のカリブの島々にもインド人は渡ってきているけれど、その数は群を抜いた多さ。実際に僕もトリニダードを訪れた時は、ジャマイカやバルバドスにはないインドな匂いを感じたりもした。

ただ、同じ程度の割合を占めるアフリカ系住民とインド系住民は住むエリアが分かれている面もあって、カーニヴァルではそれほどチャットニーがかかるわけではない。
そのなかでも僕が訪れた2008年2月のカーニヴァルでかかっていたクロスオーヴァー・ヒットが、ハンターの“Bring It”。



これがチャットニーの典型的なノリ。
リリックはたわいもない酒呑みソングだけど、これを爆音で聴いた時はかなりのインパクトがあった。ま、<感動>というよりも<爆笑>って感じだけれど、そんな笑っちゃうところも含めて面白い。

いわゆるカリブのローカル・ミュージックだし、世界的な評価の気運も皆無。
ただ、グアドループ/マルチニークなどフレンチ・カリブの島々で愛されているズークが、なぜか西アフリカの沖合に浮かぶポルトガル語圏=カーボヴェルデに飛び火しているのと同じで、インドのベタな大衆音楽がカリブで熟成されてしまっている現象はすごく面白いと思う。

そんなチャットニーの最新チューンは、現地のチャットニー・ラジオ曲「MASALA 101.1」でチェックできる。ここでは現地での放送をリアルタイムで聴くこともできるので、ぜひラムとマサラのダブル・パンチにヤラれてください。
MASALA 101.1
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by hazimahalo | 2009-03-02 17:52 | カリブ