ダニー・ボイル監督作品「スラムドッグ$ミリオネア」がアカデミー賞8部門を受賞して話題となっている。欧米の映画/音楽市場ではボリウッドが次のトレンドとされつつあるようで、世界に数億といるであろう(非インド人を含む)ボリウッド愛好家は微妙な心境では。

ともかく、エンターテイメントの世界でも、世界的な経済市場のなかでも存在感を増してきているインドだけど、僕としてはこの勢いでチャットニーにも注目が集まったりしないかしら、などと思っている。

チャットニーはトリニダード・トバゴに住むインド系住民のなかで愛されてきた音楽で、同地原産のソカ/カリプソとヒンドゥー・ポップスが混ざったもの。

トリニダードはかつて季節労働者として渡ってきたインド人が多く住んでいて、人口の40%を占めている。他のカリブの島々にもインド人は渡ってきているけれど、その数は群を抜いた多さ。実際に僕もトリニダードを訪れた時は、ジャマイカやバルバドスにはないインドな匂いを感じたりもした。

ただ、同じ程度の割合を占めるアフリカ系住民とインド系住民は住むエリアが分かれている面もあって、カーニヴァルではそれほどチャットニーがかかるわけではない。
そのなかでも僕が訪れた2008年2月のカーニヴァルでかかっていたクロスオーヴァー・ヒットが、ハンターの“Bring It”。



これがチャットニーの典型的なノリ。
リリックはたわいもない酒呑みソングだけど、これを爆音で聴いた時はかなりのインパクトがあった。ま、<感動>というよりも<爆笑>って感じだけれど、そんな笑っちゃうところも含めて面白い。

いわゆるカリブのローカル・ミュージックだし、世界的な評価の気運も皆無。
ただ、グアドループ/マルチニークなどフレンチ・カリブの島々で愛されているズークが、なぜか西アフリカの沖合に浮かぶポルトガル語圏=カーボヴェルデに飛び火しているのと同じで、インドのベタな大衆音楽がカリブで熟成されてしまっている現象はすごく面白いと思う。

そんなチャットニーの最新チューンは、現地のチャットニー・ラジオ曲「MASALA 101.1」でチェックできる。ここでは現地での放送をリアルタイムで聴くこともできるので、ぜひラムとマサラのダブル・パンチにヤラれてください。
MASALA 101.1
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# by hazimahalo | 2009-03-02 17:52 | カリブ
ライターの土佐有明くんがWEB DICEで連載「土佐有明の(ほぼ)初日劇評」を始めた。
聞くところによると、雑誌「マーキー」での連載とUPLINKで4月から始めるトーク・イヴェント、それとWEB DICEの連載、いわば紙媒体〜トーク・イヴェント〜WEB連載を連動させているわけで、こういうのは面白い。

連載のテーマは僕がまったく明るくない演劇。公演初日のレポートを即日アップして、それを読んだ読者が公演に足を運ぶ流れを作っている。
読者にしても、主催者にしても、こういうのは嬉しいはず。

ちょっと主題は違うけど、僕も少し同じようなことを考えてたから、すごく参考になります。
(↓リンクの張り方が分かりません。誰か教えて!)

http://www.webdice.jp/dice/
http://www.webdice.jp/dice/detail/1311/
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# by hazimahalo | 2009-02-26 02:51 | お仕事
ライターを生業にしている僕だけど、普段執筆しているもの以外に定期購読している雑誌って実は多くない。

まず、日本だと「クーリエ・ジャポン」。海外の雑誌に掲載されたニュースを編集・整理してまとめていることから、現地の生情報が分かって面白い。ひとつのニュースにしても国が変わると視線が変わってくるわけで、それを並べて読めるのもいい。妙なバイアスがかかった日本の新聞を読むぐらいなら、この雑誌とネット上にアップされたニュースをチェックするだけで事足りる。

音楽誌で定期購読しているのは、唯一、イギリスの「SONGLINES」だけ。バルセロナに滞在していた時にビョークの表紙に釣られて買ったのが最初で、帰国してからはイギリスから毎号送ってもらうようにしてる。

d0010118_573897.jpg「SONGLINES」はいわゆる<ワールド・ミュージック>の雑誌で、正直なところ、クラブ系音楽に対する無知が露呈した(=つまりは、オッサン臭い)部分も多分に感じられるところがあって、毎回がっかりさせられるページがあるのも事実(数号前のクンビア特集なんて酷かった)。

じゃあなんでわざわざ定期購読までしているのかというと、イヴェント告知の広告だとか、ちょっとしたニュース記事が読めるから。
いずれもウェブ上でチェックできる情報だとは思うけれど、ページをめくって<おっ!>というニュースと出会うのは、やっぱり紙媒体ならではの楽しみだと思う。
あと、毎号フリーCDが付いているのも嬉しい。割と日本で手に入るような音源ばかりではあるものの、サンプラーという意味ではなかなか便利。特にワールド系のアーティストはMyspaceも作ってないようなことが多いので、毎回重宝してます。

そんなわけで、最新号に掲載されていた気になるニュースをいくつか。

*ダビィ・トゥーレとスキップ・マクドナルドの競演作が3月にリリース
ダビィはモーリタニアのシンガー・ソングライター。スキップ・マクドナルドはON-U周りのギタリストで、リトル・アックス名義のソロ作もある人物。どちらも大好きなアーティストだけに、この競演作は興味がある。

*ロンドン・ラテン・ミュージック・フェスティヴァルが4月に開催
日替わりで興味深い面々が出演。ルンバ・カタラーナの大御所ペレットとバルセロナのラ・トローバ・カンフーの競演も面白そうだけど、気になったのは<ア・トロピカル・トリビュート・トゥ・ザ・クラッシュ>と題された日。<スパニッシュ・ボムス>という副題が付いたこのライヴ、何やら15人編成のバンドがクラッシュをラテン・リメイクするらしい。企画だけ聞くとオッサン臭い匂いもするけれど、ブエノスアイレスのZZKレーベルでも仕事をしているトイ・エルナンデス(フアネスのリミキサーでもある)が仕切っているらしく、なんだかマニュ・チャオのレディオ・ベンバ・サウンドシステムみたいになりそうな予感も。ちょっと未知数なところはあるものの、いっそのことフジロックあたりで呼んでくれないだろうか?

*TUNNG(タン)とティナリウェンが合同ツアーを行う
エレクトロニック・トリートメントしたブリティッシュ・フォークを聴かせるタンと、<砂漠のブルース>の雄ティナリウェンの組み合わせ。今のところはUKツアーのみの予定らしいけれど、結構面白そう。タンはクラムドでタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのリミックスなんかもやってたし、ヨーロッパのワールド業界で重宝されているのだろうか。

ちなみに、次号「SONGLINES」の表紙はカリプソ・ローズ。ちょっとしたトリニダード・トバゴ特集になるようで、<そろそろ定期購読の必要はないかも?>なんて思っていたけれど、やっぱり契約を継続することにしよう。
そろそろ夏のフェスティヴァル情報も出てきたし、行けるかどうかは分からないものの、「SONGLINES」を読みながら旅のイメージでも膨らませてみたいと思います。

なお、「SONGLINES」のウェブサイトはこちら↓
http://www.songlines.co.uk/
過去のコンテンツをPDFで読めるのもナイスです。
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# by hazimahalo | 2009-02-24 05:22 | お仕事